樹木葬と土葬の違いとは？　自然葬の種類や注意点も紹介

樹木葬を検討している方の中には、「土葬とはどう違うのだろう？」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。日本では火葬が一般的ですが、かつて主流だった土葬との違いを知っておくことで、樹木葬をよりしっかりと理解できるでしょう。

本記事では、樹木葬と土葬の基本的な違いや日本における土葬の現状、さらに自然葬の種類や樹木葬を選ぶ際の注意点について解説します。

樹木葬と土葬の違いとは？

樹木葬と土葬は共に故人を弔う埋葬方法ですが、その形態や現代における位置付けは大きく異なります。ここでは両者の定義を確認し、違いを整理しながら見ていきましょう。

樹木葬とは？

樹木葬は、自然に還ることを重視した「自然葬」の一種で、墓石を設けずに樹木や草花を墓標とする埋葬方法です。火葬後の遺骨を専用の区画に納め、樹木の下で眠るスタイルが一般的です。

区画の形態には、一つの区画に一人ずつ納める「個別型」と、多くの人と一緒に埋葬される「集合型（合祀型）」があります。一般的な墓地に比べて費用を抑えやすく、後継者を必要としない永代供養（えいだいくよう）が基本であるため、後継ぎ問題に悩む人からも注目されています。

また、自然環境に配慮した理念に共感する人が増えているのも人気の理由です。遺骨をコンパクトに納められることもあり、都市部でも樹木葬に対応する墓地や霊園が増加傾向にあります。

土葬とは？

土葬は、遺体を火葬せずにそのまま土に埋葬する方法です。かつては日本でも広く行われていましたが、衛生面の問題や土地不足の影響により減少しました。現在では火葬が主流ですが、宗教上の理由などから土葬を望む人も一定数存在しています。

両者の違いと位置づけ

樹木葬は、火葬後の遺骨をコンパクトに埋葬できる点で現代の日本社会に適応した埋葬方法といえるでしょう。一方で、土葬は遺体をそのまま埋めるため、衛生面や土地条件に大きな制約があり、実施できる地域は限られます。

海外では土葬が一般的な国もありますが、日本では火葬文化が根強く、樹木葬のような自然葬が新たな選択肢として広がっています。

日本では土葬を選択できる？

現在の日本では、火葬が全体の99%以上を占めているものの、土葬そのものが法律で禁止されているわけではありません（※）。しかし、墓地の管理規則や自治体の条例によって厳しく制限されており、実際に土葬を選べる地域は限られています。

特に都市部においては、土地の確保や衛生面の問題からほとんど実施できません。一方、一部地域では例外的に認められるケースも存在します。

※参考：政府統計の総合窓口.「衛生行政報告例 / 令和5年度衛生行政報告例 統計表 年度報　埋葬及び火葬の死体・死胎数並びに改葬数，都道府県－指定都市－中核市（再掲）別（厚生労働省）」.
https://www.e-stat.go.jp/stat-search/files?page=1&query=%E6%94%B9%E8%91%AC&layout=dataset&stat_infid=000040217221 ,（参照2025-09-30）.

樹木葬以外の自然葬の種類と特徴

国内でも近年注目されている自然葬には、樹木葬以外にも、海に遺骨をまく海洋葬（海洋散骨）や空から散骨する空中葬（空中散骨）などがあります。ここからはそれぞれの特徴を紹介します。

海洋葬（海洋散骨）

海洋葬は、遺骨を粉末状にして海にまく葬送方法です。日本では法律上は明確に禁止されておらず、節度を持って実施すれば可能とされています。墓地や霊園を必要とせず、自然と一体になれる点が大きな特徴です。

多くは専門業者が船を利用して実施し、参加者が花びらを海に添えるなどのセレモニーを取り入れることもあります。ただし散骨場所や粉末化の手順などにはマナーがあり、関係機関のガイドラインを守ることが重要です。

自由度が高い一方で、遺骨を形ある場所に残せない点を理解して選ぶ必要があります。

空中葬（空中散骨）

空中葬は、ヘリコプターや小型飛行機などで空中から海上に向けて散骨する方法です。海洋葬と同様に自然と一体化できる葬送方法で「空を飛んでみたかった」「飛行機が好き」といった理由で、本人が生前に希望しており、実施するケースもあるようです。

また空中葬と似た形式にバルーン葬、宇宙葬もあります。バルーン葬は大きな風船に遺骨を納めて飛ばし散骨する方法です。宇宙葬は遺骨を納めたカプセルをロケットで宇宙空間へと打ち上げます。
いずれもまだ珍しい葬送方法であるため、一般的とはいえませんが、希望に応じて対応できるサービスは存在します。

樹木葬を検討する際の注意点

樹木葬を選ぶ際には、いくつかの確認ポイントがあります。まず大切なのは、永代供養の有無です。後継ぎがいない場合でも長期間供養を続けてもらえるかどうかは、安心して選ぶための大きな条件となります。

また、埋葬方法が個別型か集合型（合祀型）かによって、将来の供養の仕方やお参りのしやすさが異なります。さらに、シンボルツリーや周囲の樹木は年月とともに成長し、景観が変化することも理解しておきましょう。費用や管理体制も墓地や霊園ごとに異なるため、比較検討が必要です。

そして何より重要なのは、家族や親族の理解を得ることです。自然志向の樹木葬に共感できても、親族に抵抗感がある場合はトラブルにつながりかねません。契約前に必ず話し合いを重ね、納得できる形で選ぶことが大切です。

まとめ

樹木葬と土葬は、いずれも大切な人を弔う方法ですが、その性質や現代における位置付けは大きく異なります。日本では火葬が主流であり、土葬を選べる地域は限られているのが現状です。その一方で、自然に還るという理念を持つ樹木葬は、現代的な選択肢として広がりを見せています。葬送の形は家族ごとに異なり、価値観やライフスタイルに合わせて選ぶことが重要です。

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