改葬は予算を把握して計画的に行おう

改葬のために知っておきたいこと

古くから田舎に菩提寺があり、そこに先祖代々の墓があるというご家庭もいらっしゃるでしょう。しかし今は田舎には働く場所が少ないということから、都市部に若い世代が集中し、そこで結婚し住居を構えれば田舎のお墓参りに行くことも少なくなりがちです。またお墓を守ってくれているご両親が病気をされる、また逝去されるなどすれば、お墓の面倒を誰が見るのかという問題も出てきます。そこで、お墓を引っ越す、すなわち「改葬」を考えるご家族も少なくありません。改葬というのは現在あるお墓から、お骨を別のお墓に移す事を言います。しかし、ご遺骨を移す際には、役所や菩提寺との手続きや手順があり時間も費用も掛かるので、計画的に考えていく必要があります。

お墓というのは自分たち家族だけではなく親戚にとっても大切な先祖が眠る場所ですから、親族にきちんと理由をお話しして同意を得、トラブルなく移さなければなりませんし、今あるお墓を管理してくれている寺院や霊園の管理者等にも理由をしっかりと話し、後にトラブルが起きないようにお互いが理解した上で気持ちよく改葬する事が望まれます。法律も深く関わってくる問題で、お墓を別の場所に移す、お骨を移動させるという時には改葬許可証が必要となります。改葬許可証の手続き書類については、各地方自治体、役場などで書式が違うので市区町村役場などに確認して書類などもしっかりと準備しておきましょう。

現在利用されているお墓が外墓という戸外にある従来型のお墓の場合、その墓所を更地にして返却するという事が必要となるので、ここに費用が掛かります。また、移設を希望する場合はその費用などもある程度想定しておかないと、いざご遺骨を動かすという時になって費用を捻出できないという事もあるかもしれません。こうしたことも寺院や霊園、石材店などに相談しなければならないので、どのような事を行うのか、詳しく知る必要があるのです。

計画的に予算を把握して行う事が重要

改葬にはどんな費用がかかるかは一般の人がイメージしている項目よりたくさんあると考えましょう。新しいお墓の建立費や納骨の為に掛かる費用、外墓の場合はお墓の撤去費用、お寺が菩提寺であった場合は離壇料が必要な場合もありますし、その他新しい墓地が寺院墓地であればお寺の檀家となるための入檀料や護持会費などが掛かる事が多いです。お墓の撤去費用については外墓でなければ必要ないと思いますが、一般的にお墓というと外墓が多いので、更地にして返却するという事が殆どと考えられます。田舎の墓地の使用規則などがあればしっかりと読んでみて、ないようであれば墓地管理を行っているところに連絡し確認しましょう。使用規則に書かれていない場合でも、更地返却は当然のこととして記載しないという事もあります。

更地にするための工事については、石材店や建築会社など業者によって違いがあります。お寺で紹介してもらえるようなら紹介してもらい、また複数の業者から見積もりを取る方が安心です。指定業者の場合、その業者以外は依頼できないので、これもよく確認が必要でしょう。新しいお墓の建立について、現在利用している墓石がそのまま利用できるようなら利用しますが、新しいお墓の区画や墓石の形状などによって利用できないという場合もあります。お寺や霊園によっては、他の場所から移転した墓石は利用しないというところもありますので、これも確認が必要でしょう。移設するものが重量のある石ですので、移設の運送費も思ったよりかかる場合が多いと考えておきしょう。

もちろん、お墓を新たに購入される場合には、永代使用料や墓石に掛かるお金、管理料や檀家になる事について掛かる料金など、さまざまな料金を把握しておくことが必要です。決して安い費用ではないので、改葬する際はその点などを考慮して計画的に行うことが重要なのです。

様々なしきたり、規則がある事を忘れずに

古くからある墓地で先祖代々の墓として利用されている場合、お骨を骨壺などに入れず御遺骨をそのまま土葬しているという事もあるので、この場合はお骨を両手の平で丁寧に救ったくらいの土を、新しく建立するお墓、墓所に移して、先祖代々の霊をご供養するという方法を行う事もあります。近年は火葬を義務づけている自治体が殆どですが、地域によっては土葬が認められている場所もあるので、ご遺骨の一部が土中に残っているという場合もあります。この場合、改葬許可証のほかに、新しく埋葬する地域の市区町村役場において、火葬するための相談が必要になる事もあります。こうしたこともあるので、市区町村やお寺、霊園などにしっかりと相談する事が必要です。

お骨を新しいお墓に移動させるときには現在のお墓で閉魂法要、いわゆる「魂抜き」と呼ばれる法要が必要となりますし、新しいお墓にも開眼法要「魂入れ」という法要が必要となります。また、実家にあるお墓はそのままにして、自分が暮らす地域に別のお墓を作り、御遺骨の一部を分骨するという事も多くなっています。例えばご主人がお亡くなりになった場合、先祖代々の墓に入る事が決まっているが、ご家族が暮らす近くにもお墓を建立し埋葬したいという気持ちがある場合、分骨を行うなどの手段をとる事もあります。この場合、分骨証明書という書類が必要となりますので、これについても各市区町村役場などで確認しておく方が安心です。

お墓については様々な決まりごとがありますし、地域によってしきたりが違うという事もあります。そのため簡単に考えずに必ずお寺や霊園の方などに相談し、トラブルがないようにしっかりと考えて計画的に行う事が大切なのです。

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