公営霊園の樹木葬とは? メリット・デメリットや民間霊園、寺院墓地との違いを解説
時代の移り変わりとともに、お墓の在り方も多様化しています。中でも近年注目を集めているのが、墓石の代わりに樹木をシンボルとして遺骨を納める「樹木葬」です。公営霊園の中にも樹木葬が可能なところは少しずつ増えていますが、民間霊園の樹木葬とはどのような点が異なるのでしょうか。
本記事では樹木葬や公営霊園の概要、公営霊園の樹木葬のメリット・デメリット、民間霊園や寺院墓地の樹木葬との違いを解説します。樹木葬に興味を持っている方は、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
そもそも樹木葬とは?
樹木葬とは樹木をシンボルとして、遺骨を埋葬するスタイルのお墓です。
従来のお墓は墓石をシンボルとして、遺骨を埋葬します。樹木葬はこの墓石の代わりに、シンボルツリーとなる樹木を植え、その下に遺骨を埋葬するのが特徴です。樹木の横に小さなプレートなどを設置するケースはありますが、従来のような大きな墓石は設置しません。
先祖代々受け継ぐ従来のお墓と異なり、個人や夫婦、家族単位などで使用できます。また霊園によっては、ペットと一緒に遺骨を埋葬することも可能です。環境に配慮したお墓の形として、近年人気を集めています。
公営霊園とは?
公営霊園とは、都道府県や市区町村などの地方自治体が管理・運営する霊園のことです。一部の業務は企業に委託される場合もありますが、基本的には自治体が主体となります。
自治体が管理・運営を行うため、安定した経営が行われ、石材店や宗教・宗派による制限がありません。一区画が比較的大きく、利用料も安く設定されている傾向にあります。
公営霊園の樹木葬のメリット
公営霊園で樹木葬をする場合の4つのメリットを紹介します。
1. 費用を抑えられる
公営霊園の樹木葬は、民間霊園や寺院墓地の樹木葬と比べて費用を抑えることができます。
樹木葬かどうかにかかわらず、一般的に霊園の利用料は、公営霊園の方が民間霊園や寺院墓地よりも安く設定されています。地域や区画の広さなどによっても異なりますが、公営霊園を選べば、費用を抑えられる可能性が高いです。
2. 宗教・宗派を問わない
宗教や宗派を問わないことも、公営霊園の樹木葬のメリットの一つです。
民間霊園や寺院墓地の場合、その寺院の宗派に属していることなどが利用条件となる場合が多く見受けられます。民間霊園については、宗教不問で利用できる施設が増えていますが、特定の宗教法人が運営に関わっているケースもあり、確認が欠かせません。
公営霊園の場合、このような制限が設けられていないケースがほとんどです。ただし一部の公営霊園は宗教や宗派の制限があるため、公営霊園の樹木葬を希望する場合は、事前に確認しましょう。
3. 安定した経営が期待できる
安定した経営が期待できることも、公営霊園の樹木葬のメリットです。
自治体が管理・運営を行う公営霊園は、民間霊園や寺院墓地のように突然経営が立ち行かなくなる心配はほとんどありません。万が一管轄の自治体が合併する場合は、合併後の自治体が引き続き管理・運営を行ってくれます。
4. 遺骨を自然に返せるケースが多い
遺骨を自然に返せるケースが多いことも、公営霊園の樹木葬のメリットといえるでしょう。
公営霊園の樹木葬は、遺骨をそのまま埋葬するか、土に返る素材の袋に包んで埋葬するケースが多いです。遺骨を自然に返すことができるため、故人の自然回帰への希望をかなえられるでしょう。
公営霊園の樹木葬のデメリット
ここからは公営霊園の樹木葬のデメリットを見ていきましょう。
選択肢が少ない
公営霊園の樹木葬のデメリットは、選択肢が少ないことです。
樹木葬が普及するとともに、樹木葬に対応している公営霊園は増えてきていますが、まだまだ対応していない霊園の方が多いです。そのため、希望するエリアで樹木葬が可能な公営霊園を見つけられない可能性があります。
申し込み要件が設けられている
申し込み要件が設けられていることも、公営霊園の樹木葬のデメリットです。
どのような要件が設けられているかは自治体によって異なりますが、要件を満たしていなければ申し込みができません。公営霊園の樹木葬を希望する場合は、事前に要件を確認しておきましょう。
競争率が高い
競争率が高いことも、公営霊園のデメリットです。
利用料が民間霊園や寺院墓地よりも安く、一区画が大きな傾向にある公営霊園は、利用を希望する方の数も多いです。希望者が多ければ抽選となり、落選すると利用できません。
ペットと一緒の埋葬はできない
ペットと一緒の埋葬ができないことも、公営霊園の樹木葬のデメリットといえるでしょう。
前述した通り、民間霊園ではペットと一緒の埋葬が可能なところもあります。しかし、公営霊園では、ペットと一緒の埋葬には対応していません。
民間霊園や寺院墓地の樹木葬との違いは?
公営霊園の樹木葬も、民間霊園や寺院墓地の樹木葬も、墓石を立てず樹木をシンボルとするお墓という点では同じです。
大きな違いとして、利用料が挙げられます。民間霊園は公営霊園に比べると利用料が高額に設定されていることが多いですが、その分設備やサービスが充実している傾向にあります。ペットと一緒に埋葬できる霊園も見つけやすいでしょう。永代供養も付いているため、長期的に供養を続けてもらえます。
寺院墓地も公営霊園に比べると利用料が高い傾向にあるのが特徴です。お寺にある墓地のため、永代供養が付いているのはもちろん、葬儀や法事などの相談もしやすく、依頼すれば一周忌、三回忌などの年忌法要なども行ってくれます。檀家にならなくても利用できるお寺もありますが、檀家になることを求められるケースもあるようです。
【まとめ】
公営霊園の樹木葬を希望する場合は要件などを事前に確認しよう
公営霊園の樹木葬は、基本的に宗教・宗派を問わず利用でき、安定した経営が期待できます。しかし、自治体ごとに要件も設定されているため、事前に要件を確認しておくことが大切です。希望する場合は、自治体に問い合わせ、事前に情報収集をしておきましょう。