海洋散骨とは?費用や注意点を紹介

海洋散骨とは粉状にしたご遺骨を海上にまく葬送方法です。しかし法律で明確な決まりはありません。そのため節度を守って行う必要があります。海洋散骨の方法や費用の相場、注意点を解説します。

海洋散骨とは遺骨を海洋に放つこと

海洋散骨は火葬した後の焼骨を1~2mmほどの粉状にして海洋に散布する葬送方法です。利用者は自然や海が好きだった、死後は自然に還りたいと希望していた、お墓を持たない、お墓を継ぐ人がいないなど故人の希望で選択しています。海洋に散布する方法は船舶に乗って行う方法が一般的です。ご遺骨をご遺族の手で散布、または代行業者の手で散布し、献花や献酒などを行い供養します。

法律上の問題はない

墓地、埋葬等の法律で、海洋散骨を禁止する項目はありません。しかし一部の地域では条例で散骨を禁止している、または制限しているケースがあります。散骨によって周辺住民とトラブルが発生する可能性があるからです。散骨を希望する地域には事前に確認しておくとよいでしょう。周辺住民や自然に配慮することが大切です。
近年海洋散骨を行う著名人も増え、新しい葬送として海洋散骨は人々に受け入れられつつあります。2021年3月には厚生労働省でも、適切に散骨が行われることを目的にした、散骨事業者向けの 散骨に関するガイドラインの資料を掲載しました。これは葬送の方法が国民の意識とともに変化していることが背景にあります。 散骨業界の中でもガイドラインを決め、散骨場所やルールなど細かい自主基準を策定して、 それに沿った散骨が行われています。

[注1]特定非営利活動(NPO)法人日本環境斎苑協会.「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」.
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000763737.pdf
(2021-11-25)

散骨の流れ

海洋散骨は個人で行うことも可能ですが、専門の業者に依頼する方法が一般的です。ご遺骨を散布するためには、焼骨をパウダー状にする必要があり 、散骨団体による基準も設けられているため、水源や人目につかない場所での散布が求められているからです。
散骨の流れは信頼できる散骨業者に依頼し、先に契約をしてから 散骨プランや支払い方法を決めます。その後ご遺骨の引き渡し、ご遺骨を自然に配慮した方法で適切に1~2mmに粉骨化。 出航当日は希望したプランの方法で海上に散布します。後日 、散骨証明書や散骨の様子をおさめた写真アルバムがご遺族に渡されるプランもあります。

海洋散骨の費用はプランによって異なる

業者や散骨方法によっても費用は異なりますが、海洋散骨は約4万円から約40万円で行えます。主な方法は代行散骨、合同散骨、貸し切り散骨があります。それぞれ解説しますので、参考にしてください。

代行散骨は約4万円から

故人がご家族に負担をかけたくないとご希望していた場合や、費用負担を抑えたいなどのときには、業者が代理で散骨する方法があります。ご家族は船に乗る必要がありません。相場は約4万円から約10万円です。比較的リーズナブルな価格のプランを設定している業者が多いでしょう。

合同散骨は約10万円から

合同散骨は、複数の家族が一緒に同じ船に乗り合わせて散骨する方法です。1家族2名までといったように、人数制限が設けられている場合があります。相場は約10万円から約20万円です。ご家族の手によって直接海上にパウダー状にしたご遺骨がまかれます。

貸し切り散骨は約15万円から

貸し切り散骨は船舶を個人で貸し切る散骨方法です。1家族のみで船を貸し切るので、他の方法よりも価格が高めに設定されているプランが多いでしょう。ご家族の他、友人知人など生前親しくしていた方だけでお別れしたい場合に選ばれています。相場は約15万円から約40万円です。貸し切る船の大きさによって、大きく費用が変わります。

海洋散骨の主な注意点2つ

法的に問題がないからといっても、自由に散骨できるわけではありません。散骨のガイドラインや自治体の条例に従うなど節度を守って行う必要があります。

ルールやマナーを守る

厚生労働省のホームページに掲載されている散骨事業者向けの散骨に関するガイドラインによると、海洋に散骨する場合は、海岸から一定の距離以上離れた海域で行うと明記されています。漁業の妨げにならないようにする必要があるからです。また自然に還らないような包装紙付きの花や、思い出の品などは、海上に放てません。周辺の環境を乱す恐れがあるからです。散骨当日もご遺族は喪服を着用せず、普段着で散骨を行う必要があります。船つき場には他の船を利用する方もいるため、周囲の方たちへの配慮も重要です。
[注1]特定非営利活動(NPO)法人日本環境斎苑協会.「散骨に関するガイドライン(散骨事業者向け)」.
https://www.mhlw.go.jp/content/11130500/000763737.pdf
(2021-11-25)

親族に理解してもらう

時代とともに、人々の葬送方法に対する考え方が変わってきていても、散骨を詳しく理解している人はまだ多くはありません。「令和2年度厚生労働科学特別研究事業の墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究報告書」によると、散骨未経験者500人のうち、散骨をよく知っていると答えた割合は全体の7.6%でした。また上述の調査結果によると、そもそも賛成できないと解答した人が 散骨未経験者全体の12.8%いました。散骨に対して抵抗を感じる方がいるのも事実です。生前ご本人が希望されていた方法だとしても、親族間のトラブルを防ぐためにも、ご親族にも海洋散骨の内容を丁寧に説明することが大切です。

[注2] 特定非営利活動(NPO)法人日本環境斎苑協会.「令和2年度厚生労働科学特別研究事業 墓地埋葬をめぐる現状と課題の調査研究 研究報告書」
http://www.j-sec.jp/files/f_1625718066.pdf
http://www.j-sec.jp/files/f_1625718082.pdf
http://www.j-sec.jp/files/f_1625718093.pdf
http://www.j-sec.jp/files/f_1625718109.pdf
(2021-11-25)
注 墓地、埋葬、散骨等に関する国民意識の動向を把握し、散骨ガイドライン作成の資料にするため2020-10-30から2020-11-2に実施。全国の散骨経験者500人、散骨未経験者500人が対象。

【まとめ】

納得した上で海洋散骨を選択しましょう

海洋散骨は、火葬後の焼骨をパウダー状にして海上に放つ葬送方法です。葬送の方法も増え、お墓を持たない選択をする方もいます。しかし海洋散骨を行うには、散布する場所や近隣住民、自然環境やご親族などへの配慮が必要です。散骨したご遺骨は二度と戻ってきません。後悔のないように、しっかりとご家族と話し合うことも大切です。
鳳友産業グループではお客さまへのサポートを徹底しています。墓石の販売や葬儀、ご供養に関してご不明点があれば、お気軽にお問合せください。

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