樹木葬で戒名はいらない? 戒名なしのメリット・デメリットを解説
樹木葬は、宗旨や宗派に関係なく誰でも利用できる埋葬方法として知られています。そのため「戒名は必要ないのでは」と考える方も少なくありませんが、実際のところはどうなのでしょうか。
本記事では、樹木葬を検討している方向けに、樹木葬における戒名の必要性や、戒名なしのメリット・デメリットについて詳しく解説します。
目次
樹木葬は戒名なしでもOK
結論から言うと、樹木葬では戒名は必ずしも必要なものではありません。
戒名とは、仏教において仏弟子になったことを示す名前です。仏教では、戒名を授与することによって仏門に入ったと見なされ、極楽浄土へ迷わずに行けるとされています。そのため、仏教葬を行って一般墓や納骨堂にお骨を納める場合は、基本的に戒名が必要とされています。
一方の樹木葬は、宗旨や宗派にかかわらず誰でも利用できる埋葬方法です。仏教のような戒名のルールも適用されないため、戒名なしでも埋葬できます。
戒名なしで樹木葬を行うメリット
戒名なしで樹木葬を行うと、以下のようなメリットがあります。
遺族の負担を減らせる
戒名なしで樹木葬を行うと、遺族の負担を減らせます。戒名は基本的に通夜式までに授かる必要があるため、身内が亡くなった後、速やかに菩提寺の僧侶へ相談し、戒名を付けてもらうことになります。
この流れは菩提寺の所在に関係なく行われるものなのでもし菩提寺が遠方にある場合は先方に連絡してスケジュールを調整したり、僧侶の交通費を負担したりしなければなりません。
遠方の菩提寺から僧侶が来られない場合は、付き合いのあるお寺か葬儀社から代わりのお寺を紹介してもらうことになります。いずれの場合も付き合いのある菩提寺と葬儀社に加え、戒名を付けてもらう代わりのお寺ともやり取りする必要があるため、遺族にとってかなりの負担になります。
戒名なしなら、このようなやり取りやスケジュール調整は不要になるため、残された家族の負担を軽減できるでしょう。
費用を抑えられる
また戒名なしで樹木葬を行うと、費用を抑えることも可能です。戒名を授かる際は、菩提寺に戒名料を支払う必要があります。
戒名料は、戒名のランクや宗派によって異なりますが、ランクの低い信士・信女でも5万円~50万円、位の高い院居士・院大姉になると100万円以上かかるケースもあります。なお、戒名料はあくまでお布施としてお渡しするものであるため、実際にいくら包むかは施主の方のお気持ち次第です。
ただし、相場を調べてお布施を渡すのがマナーとされているため、少なくとも5万円以上の費用がかかると考えておいた方がよいでしょう。
戒名なしの樹木葬なら、戒名料は一切かからないため、葬儀にかかる費用を抑えられます。
樹木葬で戒名なしを選ぶデメリット
戒名なしの樹木葬には手間や費用の面で大きなメリットがある一方、いくつか注意が必要な点もあります。
メリットにだけ着目して、デメリットを知らずにいると、戒名なしの樹木葬を行ったときに後悔する可能性があるため、デメリットもしっかりチェックしておきましょう。
改葬の選択肢が少なくなる
他の人の遺骨とまとめて埋葬する合祀型の樹木葬では、そもそも改葬(お墓の引っ越し)はできません。一方、区画ごとに遺骨を埋葬する集合型あるいは個別型の樹木葬の場合、後から遺骨を取り出して他のお墓や納骨堂に納める改葬を行えます。
ただし戒名なしの場合、お寺や納骨堂によっては納骨を断られる可能性があります。必然的に改葬先の選択肢も少なくなるため、将来的に改葬の予定がある場合は要注意です。
周囲の理解を得られない可能性がある
日本では仏教式の葬式が大半を占めているため、戒名ありで納骨するケースが主流です。そのため、戒名なしで樹木葬を行うことについて抵抗や反発を感じる方は少なくありません。
特に親族の中で仏教式の葬儀や納骨にこだわりのある方がいる場合、戒名なしで樹木葬を行うことに反対される可能性があります。勝手に戒名なしの樹木葬を行うと後のトラブルの原因となるため、事前の話し合いは必要不可欠でしょう。
戒名の費用を抑える方法
先述したように、戒名を付けると費用がかかりますが、以下の方法で費用を抑えられます。
生前に戒名を授けてもらう
生前に戒名を授けてもらうのも戒名の費用を抑える方法の一つです。戒名は亡くなったタイミングだけでなく、生前に授けてもらうこともできます。生前に戒名を付けると、スケジュールに余裕がある分、亡くなってすぐに戒名を授かる場合よりも費用を安く済ませられるケースが多いようです。
戒名のランクを下げる
また、戒名のランクを下げることで戒名の費用を抑えられます。先述した通り、戒名には複数のランクがあり、上位ほど戒名料が高額になります。戒名のランクにそれほどこだわりがないのなら、ランクを下げて費用を抑えるのがよいでしょう。
【まとめ】
樹木葬なら戒名なしでも埋葬できる
仏教式の葬儀・納骨では戒名が必要になるため、多額の戒名料を支払ったり、お寺とやり取りしたりする必要があります。
一方、樹木葬は宗旨・宗派に関係なく誰でも埋葬できる方法であるため、戒名なしで納骨ができます。戒名にこだわりがなく、かつ樹木葬にかかる費用を抑えたいのなら、戒名なしの埋葬も選択肢の一つでしょう。ただし、改葬する場合の選択肢が狭まることや、周囲の理解を得られない可能性がある点には注意が必要です。メリット・デメリットをよく理解し、周囲にも相談しながら樹木層を戒名なしで進めるかを慎重に決めましょう。