歴史から未来まで。墓地の種類がわかる豆知識

墓地の歴史

誰かを埋葬する、ということが行われるようになったのは、ネアンデルタール人の時代からと言われています。厳密に言うとネアンデルタール人は人間と直系の先祖ではありませんが、少なくともその頃から死者を敬い、埋葬するという行為は存在したのです。有名な事例としては、イラク高原のシャニダール洞窟のお墓をあげることができます。このお墓には七種類ほどの草花が備えられていました。死者に花を手向けるという行為は、このころからずっと続いています。

日本におけるお墓は「古墳」が有名です。弥生時代から古墳時代にかけての古墳は非常に大きく、まるでひとつの山のように見えることもあります。また海外に目を向ければ、エジプトのピラミッドなどをはじめとして、歴史上の権力者のお墓は巨大なものが多く存在しました。

では一方で、一般人のお墓はどのようになっていたのでしょうか。現代の日本においては火葬してお墓や、お寺の納骨堂に納めるというのが一般的ですが、歴史の中では多くの形が存在したと言われています。日本においても、風葬や鳥葬、土葬と言われるような原初的な埋葬方法が近年まで残っていた地域があります。特に沖縄では本土とは大きく違った埋葬に関する慣習が多く残っていました。

日本で一般人がお墓を立てるようになったのは、江戸時代と言われています。このころ一般人の間にも仏教が普及し、ほとんどの民衆がお寺に所属するようになりました。その影響を受け、火葬やお墓を立てるという行為が広がっていきました。明治以降になると火葬が一般的になりましたが、その背景には衛生問題が大きく関与していたと言われています。

墓地の種類

現在、日本における墓地は、大きく三種類に分類することができます。それは、「公営墓地」「寺院墓地」「民営墓地」です。

「公営墓地」は書いて字のごとく、都道府県や市町村、もしくは委託された公益法人が管理しているもののことを指します。内実は自治体によって異なりますが、基本的に以下の点がメリットとしてあげられます。一つには、管理費の安さです。永代使用料や年間の管理費は民間に比べてかなり安くなります。次に、基本的にアクセスがいいところにあるということがあげられます。辺ぴなところにお墓があると、なかなかお参りするのも大変です。もう一つは、寺院などが管理しているものと違い特に宗教を問わないことです。一方で、以上のような理由から非常に人気が高く、なかなか入るのが難しいという問題があります。また公営であることから申し込み資格の制限や、墓石の形などにも制限がある場合もあります。

「民営墓地」は公営のものに対して、民間の公益法人や宗教法人が管理しているもののことであり、その中でも特に宗教上の制限がないものを指します。なお、墓地や霊園の運営は非営利事業であるため、株式会社などの営利法人による経営は許可されていません。民営墓地は公営のものやその他に比べて制限が少ないことがメリットとしてあげられます。生前に土地を購入しておくことも可能です。一方で、金額はどうしても高めになってしまいます。

「寺院墓地」は基本的に境内が隣接するような場所にあるものを指します。しかし、最近では郊外に新しく造成する寺院も存在するので、一概には言えません。埋葬するためには檀信徒契約が必要であり、当然宗教や宗派が限定されます。そのため、もともとそうしたお寺との関係が無い場合は少し敷居が高いかもしれません。一方で寺院が管理するため、手入れがしっかりとされており、また、手厚い供養ができるという側面もあります。

墓地の未来

お盆やお正月にはお墓参り、そんなあたりまえだった習慣も、すでに遠くなりつつあります。土地、墓石、管理費などそもそもが大金を要する習慣だけに、現在では灰にして撒くというようなケースも増えてきています。近年では様々なサービスが登場し、墓石を立てて納骨する、というようなスタイルに代わって少しずつ勢力を広げ始めています。

墓地の未来を考えるにあたっては、社会情勢の変化に目を向ける必要があります。現在の日本は少子高齢化が叫ばれており、お墓を管理する人数はますます少なくなっています。また、嫁入りが主流の日本においては、一人娘になるとこれまで先祖代々受け継いできたお墓を守る、ということは少々難しくなります。加えて交通手段の発達によって住んでいる地域が物理的にかなり遠いというケースも多く存在します。そうなってくると、いよいよ一つのお墓を守り続けるというような、従来の形は難しくなってきます。

こうしたニーズの変化に対応し、様々なタイプのお墓が登場しています。両方の家の墓を継ぐ場合に対応したものや、省スペースが売りの墓地、納骨堂もマンション型やロッカー型などアクセスの良さや管理の簡便さを追求したものが登場しています。また、インターネットと連携したサービスも少しずつではありますが増えており、今後どのように展開していくのか注目です。

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